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ユマニチュードとは?

ユマニチュードの考え方

「ユマニチュード」とは、イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティの2人によって作られた、知覚や言語によるコミュニケーションに基づいたケアの技法になります。
その特徴として、「人とは何か」「ケアする人は何か」を説く哲学が定義されており、これまで当たり前とされていた認知症ケアの方法をくつがえす内容となっています。

「あなたのことを大事に思っています」という言葉を日ごろから発信すること、つまり、その人の「人間らしさ」を尊重されている状況が「ユマニチュード=人間らしさを取り戻すこと」の状態なのだという定義です。
このことから分かるように、ユマニチュードの実践的な技術とは、高齢者や認知症の方に限ることなく、全ての人を対象にしているケアの考え方として、様々な状況に活用できる汎用性があります。

ユマニチュードの技術と注意点

ユマニチュードの技術の前提として、「対象に害を与えないケア」であり、その内容は大きく「見る」「話す」「触れる」「立つ」4つの技術に分けられています。

まずは、「見る」という技術において、「相手を見ない」ということは、「あなたは存在しませんというメッセージを発していることと同じであり、相手の方のレベルに合わせて、ベッドを動かす必要があれば動かしてでも相手が向いている先に行って、その視線をつかみに行くことが大切としています。次に「話す」においては、「見る」と同様に、「あなたはここにいますよ」ということを相手に伝えることで、その人の社会性を取り戻すことを意識し、たとえ反応がない場合でも常に話しかけるとしています。

この時「オートフィードバック」という技法を使うように心がけます。
例えば、「温かいタオルで体を拭きますね」「左足を曲げますよ」というように、自分が行っている動作について、実況中継をするように語りかけると、反応の乏しい人に対しても自然に言葉かけができるようになります。
「気持ちいいですね」「手を伸ばします、ありがとう」等、前向きな言葉を使うように注意しましょう。

「触れる」の場合には、いきなり掴む行為は絶対にしてはいけません。
「どこかに連れていかれる」と恐怖を感じさせるようなネガティブなメッセージを与えてしまう為です。
触れる時には、手の平を大きく使って広い面積で、ゆっくりと優しく触れ、相手に優しさや信頼を伝えるようにします。

最後に「立つ」ですが、人間としての尊敬は「立つ」ことでもたらされるシチュエーションが多く、「立つ」ことは、骨や呼吸器等、生理的にも多くのメリットがあります。
少しずつでもよいので、立位でのケアを組み入れるようにして、立って歩ける自信を取り戻すように導くことで、寝たきりを防ぐようにするというものです。

ユマニチュードは、簡単に誰にでもできるような内容になっています。
認知症ケアだけではなく、様々な人に対して有効な「ユマニチュード」について、理解しておくとよいでしょう。